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特許を無料で調べるには?~「The Lens」

江川 祐一郎

特許を無料で調べる方法について、今回は「The Lens」について解説します。

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The Lens とは

The Lensは、特許・学術論文・各種データ等を横断して検索・分析できるデータベースです。2026年6月、従来運営していたCambiaから、新設されたオーストラリアの非営利法人The Lens Limitedへ事業・資産が移管されました。The Lens Limitedは、国際光工学会SPIEの完全子会社です。

2026年現在、1億5,500万件を超える特許レコードと、2億7,200万件を超える学術文献を収録しています。

とりわけ、マクロからミクロまでの統計分析や、そのビジュアル化、特許と学術文献との引用関係の分析など、分析機能が充実しています。

日本語のインターフェースも利用できます。ただし、日本特許を詳しく調べる場合などは、J-PlatPatをはじめ、目的に応じて他のデータベースと使い分けるのがよいでしょう。

ただし、他の無料データベースには無いメリットもあります。そこで以下、The Lensの機能について幾つか概観してみます。

なお、以下のA01を使った分析は、筆者が2022年に実際に検索・分析した際の結果です。The Lensの収録データはその後も更新されているため、以下に示す件数やランキングは現在値ではありません。ここでは、The Lensを使った分析例として紹介します。

ヒット件数の表示

例として、国際特許分類「A01」(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)につき、20年間の特許公報(公開、登録)を検索してみました。

その結果、2022年当時の検索では、公報数で約150万件、ファミリー数で約82万件がヒットしました。結果は下図のように表示されます。

この数値は当時の検索結果ですが、現在のThe Lensも世界各国の特許情報を広く収録しており、グローバルな特許動向を分析するためのデータベースとして利用できます。

特許公報件数トレンド(グローバル)

The Lensでは、統計分析として様々なグラフを表示する機能があります。

下図は、2022年当時の検索結果から表示した、公報件数のトレンド(時系列変化)です。この検索条件では、「A01」という技術分野はグローバルに見て右肩上がりを続けてきましたが、2018年で頭打ちの傾向が見られました。

特許公報件数トレンド(国・地域別)

次に、国・地域別の傾向を見てみましょう。以下も、2022年当時に同じ検索条件で確認した結果です。

まずは中国について。上記したグローバルの傾向と、ほぼ同様の動きをしています。この検索条件・期間では中国の件数が非常に多く、グローバル全体のトレンドにも中国の動向が大きく反映されています。

2番手は米国。件数規模は中国の5分の1程度。徐々に右肩上がりでしたが、やはり2018年で頭打ちの傾向が見られます。

3番手は日本。件数規模は米国のさらに半分程度。しかも右肩下がりです。いわゆる五大国(中国、米国、日本、韓国、欧州)の中で、明確に減少傾向を示しているのは日本だけです。

4番手は韓国。右肩上がりで、日本は追いつかれつつあります。

5番手は欧州。緩やかな右肩上がりです。

6番手は国際特許出願。国ではありませんが、公報の種類として統計データに挙がっています。これも右肩上がりです。

特許公報件数ランキング(国・地域別)

次に、国・地域別の特許公報件数ランキングを見てみます。

下図は、The Lensが標準で持っているグラフ機能を使って2022年当時に作成したものです。上図は20年間のランキング、下図は2020~2022年の3年間に限ったランキングです。この検索結果では、近年になるほど中国の比率が非常に高くなっていることが分かります。

上位出願人

次に、特許公報件数の多い出願人を見てみます。

下図も、The Lensが標準で持っている表示機能を使って2022年当時に作成したものです。上図は過去20年、下図は2020~2022年の3年間における上位出願人です。

この検索結果では、過去20年も最近3年間も上位は欧米・日本勢が占めていますが、最近3年間では6位以降に中国勢が並んでおり、しかも、いずれも大学であることが分かります。

この内、華南農業大学の出願先(国・地域)を下図に示します。2022年当時のこの分析では、中国国内への出願が大半を占めており、海外への出願が少ないことが分かります。

この一例だけから中国の他の出願人についてまで一般化することはできませんが、出願件数を見る際には、件数だけでなく、どの国・地域へ出願しているかも併せて見る必要があります。

被引用件数

筆者がThe Lensを便利だと感じる理由の一つは、特許の被引用状況を分析できることです。現在も、The Lensの特徴的な分析機能の一つと言えます。

下図は、2022年当時、2020~2022年に公開された特許公報について被引用件数を分析した結果です。この検索結果では、油圧装置等のカップリング装置に関する発明の被引用頻度が高いことが分かりました。

The Lensの活用について

筆者は、無料で利用できる特許データベースをおよそ以下のように使い分けています。

  • J-PlatPat:まず最初に利用する(ファースト・チョイス)はコレ。また、日本特許の審査経過を詳しく見たいときは有用。
  • Google Patents:グローバルな特許を個別に閲覧したいとき。特に、新規性や進歩性を確認するために先行文献を広く探すには有用。
  • Espacenet:グローバルな特許を検索し、パテントファミリー、法的状況、引用文献等を詳しく確認したいとき。
  • PATENTSCOPE:国際特許出願を詳しく見るならコレ。そもそも国際特許出願のために構築されたデータベースのため。
  • The Lens:グローバルな特許動向をマクロに把握したいとき。それを簡単にビジュアル化したいとき。被引用状況を詳しく分析したいとき。特許情報と学術情報を関連付けて見たいとき。

以上のように、The Lensは、特許の検索だけでなく、マクロな動向分析、ビジュアル化、引用分析、さらに特許と学術文献との関係を調べる際にも特徴のあるデータベースです。

なお、2026年現在もアカウントなしで利用できる機能がありますが、アカウント制度や利用条件は変更されています。特に、業務・商用目的でWorkspace等を利用する場合には、Professional Workspaceなど現在の利用条件を確認しておく必要があります。

以上、今回は「The Lens」について解説しました。

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ABOUT ME
江川 祐一郎
江川 祐一郎
「ゆめ知財」代表
「ゆめ知財」代表の江川 祐一郎と申します。弁理士、知財系コンサルタントであることに加えて、知財系ライター、知財系プログラマー、知財系プランナーとして活動中です。知財戦略支援、中小企業・スタートアップ支援、産学連携支援、地方創生支援などを通じて、様々な人々や組織を繋ぎながら、夢の広がる社会の創造に貢献したいと思っています。
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