特許分類「Fターム」(特にFタームの5桁で構成されるテーマコード)を利用して、技術テーマ別の特許動向を俯瞰する試みをしています。
今回は、テーマコード2B041「農業機械一般(1)連結、尾輪、PTO等」。
ここまで見て来た「土作業機」に関するFタームでも、農業機械が出て来たので、かなり重複する部分はあります。
2012年1月1日以降の約10年間に出願された特許及び実用新案が対象。J-PlatPatにて544件がヒットしました(2022年8月3日現在)。
頻出するキーワード
今回、最近の動向を見るべく、2020年以降に出現したキーワードをテキストマイニングしました。
農作業機械が中心の技術カテゴリであるため、トラクタ等の農作業車を前提としたキーワードが頻出です。このFターム名称の通り、「連結」も農作業機械と各種アタッチメントを連結することが頻繁にあるので頻出キーワードとなっています。
※ユーザーローカル社のサイト「AIテキストマイニング」を利用して、発明の名称および要約の頻出キーワードをクラウド表示したもの(上図が発明の名称、下図が要約)。名詞、動詞、形容詞は色分けされている。
出願件数推移およびランキング
クボタが2019年前後で多くの出願を集中しているのが目立ちます。ざっと一連の出願を見ましたが、特にこれといった分野に集中しているようには見受けられず、出願の多い理由はよく分かりませんでした。
このクボタの動きを除けば、全体的には少しずつ減少していく傾向かと思われます。
※出願件数の推移は出願年毎に表記。2020年出願分は全て公開されているはずなので、それ以前の経変変化は確定データ。
出願人とキーワードの相関~特許戦略キャンバス
前回も触れた「特許戦略キャンバス」による情報分析を試みます。下図のように、出願人毎の特徴キーワードのプロファイルを、折れ線グラフで比較します。
農作業機械については、クボタ・ヰセキ・ヤンマー等がトラクタ等の作業車本体、小橋工業・松山等がアタッチメントという風に業態が若干異なるメーカーが、特許上は農作業機械に関する出願を競合させるライバル関係にあり、プロファイルも結構重複しているように見えます。
ただし、細かく見れば、小橋工業や松山は、アタッチメント・メーカーなりの特徴を出そうとしているように見えます。
先読み~伸びるキーワードの捉え方
ここで、要約に出現するキーワードから、どのキーワードが伸びてくるのか、ちょっと見てみたいと思います。
上位のキーワードから幾つかピックアップして実線で、下位のキーワードから幾つかピックアップして破線で示しています。
この全体を見ると、どれが伸びそうかなど、一見しては分かりませんね。そこで、最近3年間に絞って、拡大表示したのが下図です。何か特徴が分かるでしょうか・・・?
実は、実線は急激に減少しているキーワード、破線は伸びているとまでは言わないが、相対的に減少が小さいか、または若干伸びを示しそうなキーワードになります。
次回、これら実線・破線のキーワードをどうやって識別するのか、ひとつ試してみたことをご紹介したいと思います。