今回からしばらく、Fタームの5桁で構成されるテーマコード毎に、最近数年間の特許動向を俯瞰してみたいと思います。
今回対象とするのは、テーマコード:2B002「化粧合板」。2017年以降の約5年間に出願された特許及び実用新案です(J-PlatPatにて検索)。
出願件数ランキング
化粧合板は、床や壁などの建材、テーブルやタンスなどの家具に用いられる板材です。パナソニック(その知財管理を担うグループ企業)が上位に居るのは違和感ある方も居るでしょうが、パナソニックは住宅事業をやっています。
出願件数推移
全体的な件数が少ないので、傾向を云々は言い難いですが、大建工業が2020年にまとめて出願しているのは、会社の都合でしょうか。ちょっと調べただけでは、事情は分かりませんでした。
上位出願人の比較
出願件数が上位であるパナソニックIPマネジメントと理想科学工業について、頻出するキーワード件数を相対比較したものです。理想科学工業は、50歳前後以上の方ならご存知かもしれませんが、いわゆる「リソグラフ」(シルクスクリーン印刷)を開発したメーカーです。下図では、不燃処理した木板に均一にインクジェット印刷する技術に特徴があります。
頻出キーワード
ユーザーローカル社のAIテキストマイニングにより、要約における頻出キーワードをクラウド表示したものです。名詞、動詞、形容詞は色分けされています。「折り曲げる」など、この分野で注目されている課題や解決手段を見出す目安になります。
係り受け解析
出現したキーワードが、ポジティブな意味で用いられているか、それともネガティブか、AI解析により判別したものです。
その技術分野にどのような技術課題があるかを予備的に概観するのに便利です。しかし、下図では、必ずしも明確には判別できなさそうです。
ピックアップ:ひわだ社「檜皮パネル」
ここで、注目特許(筆者が好みでピックアップ)として、有限会社ひわだやの「檜皮(ひわだ)パネル」を取り上げます。
社名の通り、檜皮(ひわだ)を使った木質パネルに関するもので、薄くスライスして方形に裁断した檜皮を、木質パネル上に重ねて貼り付けていくことに特徴があります。重ねることで、檜皮と檜皮の境界線を見えなくして美観を保つことが目的です。
これは実用新案で、審査を経ていないので、権利の有効性には課題がありますが、檜皮に関する専門家の工夫が垣間見られて、筆者個人的には興味深い案件です。