IPランドスケープ

IPランドスケープにブランド力の視点を加える

以前、「IPランドスケープとは?上手く推進するには?」という記事で、「市場成長性」と「競争優位性」に触れました。

しかし、そもそも、なぜその市場なのか?それは自社にとって適当?という問題があるかと思います。特に、新規事業を立ち上げる際には重要な視点かと思われます。

社会的意義・社会的価値・ビジネスモデル

政府の知的財産戦略本部が推進する「経営デザインシート」に関連して、ビジネス図解研究所の近藤哲朗氏は、その講演にて下図を紹介しています。

すごく簡単(乱暴?)にいえば、そもそもビジネスモデルを考えるには、社会性経済合理性創造性が必要だ、ということです。

これらは、市場成長性競争優位性を考える前に、そもそも考えておかねばならない点だと思います。

これについて、筆者は下図のように捉えています。特に、近藤氏の資料における創造性は、もう少し広く自社社会的価値、言い換えれば「ブランド力」と捉えています。

つまり、その市場にて自社創造性発揮できることに加えて、自社社会的価値認知される(つまり社会的期待される)場であること、すなわち、自社の「ブランド力」を発揮できることが、有利なビジネスモデルに繋がると考えています。

ブランド力の意義

ベンチャー企業の方々と話をしていると、アピールしたいのは創造性技術力なのですが、実際にはむしろ、自社売り込むことに苦労していることが多いと感じます。

一方、大手メーカー老舗企業の場合、仮に創造性がそれほど無くとも、規模歴史がモノを言って、「この会社ならやるんじゃないか」「この会社なら大丈夫」といった社会的期待が、自ずと生まれていることが多々あるのでは、と思います。(大手や老舗に限らないかも知れませんが・・・)

それが、その会社の「ブランド力」だと言えます。そのブランド力があれば、特に新規事業を立ち上げるに当たっては、かなり有利であると言えます。仮に創造性技術力があっても、残念ながら「だから取引しよう」という風にはいきません。「ブランド力」が無ければ弱い。これは厳しい現実かと思われます。

筆者の勤務する会社も、天然資源を使った事業を古くからやっている老舗なので、その関係でお声を掛けていただくことが多々あります。中の人(従業員)は意外とその自覚が薄かったりするのですが、むしろお客さまから「天然資源なら○○社さんでしょ」などと言われることがあったりします。

もし、自社に最初からそうした「ブランド力」が備わっているならば、それを利用しない手はないと思います。

IPランドスケープとブランド力

IPランドスケープでは、自社技術力だけで競争優位性を捉えがちですが、もう少し視野を広げて、自社ブランド力という切り口を考えられないか、と思ったりしています。

例えば、自社に「天然素材ひと筋の老舗」というブランド力があるならば、それを生かして、その天然素材の川上たる原料、または川下たる用途となる分野を、新たなターゲット市場として事業領域を設定する、という切り口もあるかと思われます。

または、自社にブランド力が無くて技術力だけがある場合でも、ターゲット市場においてブランド力を持つ企業との協業M&Aを想定する、という切り口もありかと思われます。

もっとも、IPランドスケープで、どうやってブランド力を測るの?という問題はあるかと思いますが・・・

特に、技術力を重視し勝ちな理系の方々、如何でしょうか?筆者もいちおう理系なので、その反省も踏まえて・・・

お読みいただきまして、誠にありがとうございました!

 

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