前回まで、成長している技術分野をマクロ(グローバル)に見るために、国際特許分類(IPC)のクラス(上位3桁)に着目して、全セクション(A~H)の動向をザっと見てみました。
本来、ここからより詳細に深掘りすべく、クラスからサブクラス、グループからサブグループへと、細分化して延々(?)と特許分析を楽しもう(?)と思ったのですが、気になることが幾つか出てきました。
そのひとつが、国別の特許動向の違いです。特に、中国の出願件数の件数が非常に多く、他国に比べても特異な動きを示しているため(詳細は後日触れます)、その影響は切り分けて見た方が良いかな、と感じました。
そこで、出願国別の特許動向を見ることにしたいと思います。切り口は以下の通りです。
- 対象カテゴリ:国際特許分類(IPC)のセクション(上位1桁)毎
- 対象公報:特許の公開公報に限定(出願件数の伸びに着目するため)
- 対象期間:公報発行日別に過去10年程度(2012年1月1日~2022年6月30日)
- 使用ツール:The Lens
なお、出願国別と言うと、出願先と出願元、どっちなの?という疑問が湧くかも知れませんが、通常は前者を指します。つまり、出願を受け付けた国別、言い換えれば管轄官庁別、ということになります。出願元を指す場合、ちゃんと「出願人の国籍別」と呼ぶことが多いかと思います。
今回は、セクションA「生活必需品」です。
検索式
Lensを使った検索式は下図の通り2種類です。つまり、出願国(管轄官庁)としての中国を含むか除くか、で2種類です。
出願件数の推移
出願件数(公開公報件数)の推移につき、中国を含む(上図)・含まない(下図)の比較は以下の通りです。中国が約6割を占めており、近年は微減傾向に見えます。一方、中国を除けば、ほぼ維持という感じです。
出願国別の推移
出願件数(公開公報件数)の推移を出願国別(上位10ヶ国)に見ると、下図の通りです。縮尺の関係で見やすくするため、中国を含む(上図)・含まない(下図)に分けております。
件数の序列としては、だいたい、セクションに分けない全特許の傾向と、大きくは違わないかなという感じです。全体的にはやや増加傾向と言えます。中国は伸び率が大きいですが、ここ数年は減少傾向にあり、他国と異なる特徴を示していると言えます。
やはり、中国出願がグローバルな特許動向に占める影響は多大なことが分かります。これを見ると、中国出願を先行調査や侵害調査の重要なターゲットにせねば、と感じます。しかし、本当にそう考えるべきでしょうか・・・? それは、この一連の分析が終わった後、触れてみたいと思います。
次回は、セクションB「処理操作;運輸」を見てみたいと思います。