特許を無料で調べるには?~「Espacenet」
特許を無料で検索する方法について、今回は「Espacenet」を取り上げます。
欧州特許庁(EPO)による運営ですが、特許文献をグローバルに網羅しています。Google PatentsやPATENTSCOPEほどでは無いですが、少しずつ機能は進化しています。
検索機能は未だもうひとつですが、ファミリー表示、法的状況、公報の取得においては、ひとつ頭が出ている感じです。
Espacenet の 概要
Espacenetは、各国語の翻訳版があるのが特徴で、日本語メニューもあります。ただし、すべての箇所が日本語訳されている訳でなく、ところどころ英語が残っています。
他の検索サイトと同様、キーワードひとつで検索結果が表示されます。
Espacenet の主な機能
以下、Espacenetの主な機能を、いくつか簡単に解説します。
検索結果一覧
上図の通り、あまりバリエーションはなく、以下のような程度です。
- 25件ごとに表示
- 500件が上限(あとは切り捨て)
- 拡張表示(デフォルト)とコンパクト表示を選択可
ダウンロード
画面上部の「Export」から、CSV形式やXLS形式を選択できます。また、「Download Covers」から、選択した公報の表紙のみをダウンロードできます。
各文献情報
検索結果一覧をクリックすると、下図のように、特許文献の詳細が表示されます。原文献、引用文献、各国のステータスなどの詳細が一覧で網羅され、筆者はこれがEspacenetの価値だと理解しています。
マイパテントリスト
検索結果一覧の★印をクリックすると、「マイパテントリスト」というところに一時保管されます。ただ、上限は20件と少ない模様。気になる文献を”ちょい置き”する程度の使い方かと思われます。
クエリの履歴
検索式が自動保存され、該当する検索式をクリックすれば、そのときの検索結果一覧が得られます。
ただし、「設定」にて、前もってチェックしておくことが必要です。
高度の検索
キーワード、名称、要約、公報番号、出願人など、フィールドを使って細かな検索ができます。
ただし英語のみ、。また、Google Patentsなどに比べると、それほど色々な検索式を立てられる訳ではなく、柔軟性は落ちます。
特許分類
Espacenetでは、特許分類をかなり細かく検索・表示してくれます。これも他の検索サイトにはない、Espacenetの特徴と思われます。(下図はGoogle翻訳で和訳したものです。)
EspacenetやGoogle Patentsも含め、日本語でグローバルな特許文献を検索・閲覧できる環境が整ってきました。AI、とりわけ生成AI以降の成果は目を見張るものがあります。
こうした進化を見ると、これからは、検索テクニックよりも、その結果に基づくIPランドスケープへと、知財に求められるスキルや価値は、思わぬスピードで変わっていくと予想され、知財に携わる者はその変化に如何に付いていくかが課題かと思われます。