IPランドスケープを始めるには?
IPランドスケープ(IPL)が国内で広まり始めてから10年ほど経ちましたが、IPLを始めるにはどうすればよいか?といった悩みを、今でも多く聞きます。
私自身、フリーランスとなって1年、主に中小・スタートアップへの知財支援をしてきましたが、大企業や、場合によってはメーカー以外の業種からも、IPLに関する相談や依頼が、意外と来るようになりました。
このブログでも、IPLに関する記事を少しずつ発信していましたが、正直、「もうそろそろブームは去ったかな?」と思っていました。また、フリーで受ける仕事は公開できない内容が多いので、忙しさにもかまけて、IPL関連の発信は控えていました。
しかし、IPLの普及は想像以上に進んでいないようで、また、悩み事として共通するポイントも割と多いな、と感じています。ついては、IPLに関連する記事を、少しずつ差し支えない範囲で発信していこうかと思います。
今回は、「IPランドスケープを始めるには?」というテーマです。論文風に仕上げたので堅めの表現になっていますが、軽めのコラムも交えておりますので、気軽にご一読ください。
1.はじめに
「IPランドスケープ」という言葉が世間に広まって以降、いわゆる知財業界においては、その定義や内容の具体化や細分化が進む一方で、それを利用すべき経営・事業・研究側では、必ずしも理解や活用が進んでいないと思われる。
特許庁からは「経営に資するIPランドスケープ実践ガイドブック」が発行され、「知財人材スキル標準」でも触れられているなど、IPランドスケープの利用環境は充実しつつあると言える。
しかし、IPランドスケープを具体的にどのように導入・推進すれば良いのか、大手と言われる企業の担当者からも悩みを聞くことが少なくない。
そこで、IPランドスケープの導入に当たっての問題点を挙げた上で、留意すべき点について解説する。なお、秘密保持に配慮する必要上、一般的な表現にならざるを得ない点、ご容赦いただきたい。

知財業界側と経営・事業・研究側の認識ギャップは、ここ10年でかなり縮まったとは思いますが、まだまだ乖離は大きいかと。今回は知財業界の視点で記事にしましたが、経営視点での課題も多そう。それはまた別の記事にしたいと思います。
2.IPランドスケープが求められる理由
IPランドスケープは、直訳すれば「知財から見える風景」といった意味合いだが、実際には、特許マップ等によって技術動向などを「ミエル化」するための方法論、というような理解が一般的と思われる。
当初、ヒートマップなどのビジュアルが注目されたこともあり、「IPランドスケープとは特許マップ」といった偏った理解もあったが、IPランドスケープ本来の目的は、特許マップ等を手段として、技術動向や事業性等を見極めることにより、経営・事業・研究に貢献することにある。
「この市場は成長するのか」「自社に優位性はあるのか」といったことは、誰もが抱える疑問や不安であろう。IPランドスケープは、客観的な事実に基づいてそうした悩みを解消し、経営・事業・研究の進むべき道筋を指し示す「羅針盤」と言える。
裏を返せば、そのような市場成長性等の問題を曖昧にしたまま、事業や研究の現場が進んでしまっている実態が、IPランドスケープに注目を集める理由とも考えられる。

経営・事業・研究のいずれも、その行先が正しいかどうか、悩みは尽きないもの。IPランドスケープは、悩める人々を導く「羅針盤」であれ、と思っています。「ナビゲーション・システム」とか「水先案内人」という表現を使うことも。
3.IPランドスケープを導入する際の問題点
1)ガイドブックの限界
IPランドスケープの実務については、上述した「経営に資するIPランドスケープ実践ガイドブック」に上手くまとめられている。広範な方法論を網羅し、具体例を織り交ぜた解説が特徴で、知財の現場担当者に寄り添った内容となっている。
一方、IPランドスケープを導入しようとした場合、このガイドブックをそのまま現場に投げても上手くは行かない。現場にIPランドスケープを受け入れる素地があれば良いが、現実には、そこに至る前の問題が山積している。

このガイドブックは完成度が高くて、作成に携わられた「IPLの先駆者」の方々のご努力に、心から敬意を表します。その内容に見合った活用や普及を如何に進めるか、私自身も含め、今後の課題ですね。
2)人材や組織の問題
例えば、特許検索やマップ作成の基本を知らなければ、ガイドブックの最初からつまずくであろう。また、3C、SWOT、特許ポートフォリオなど、戦略フレームワークの基本的な知識も必要だろうし、市場性の見極めにはマーケティングの経験が無いと難しい部分もある。知財デューデリジェンスに至っては、そうしたことの総合力が問われる。
以上のことは、ガイドブックの勉強だけでは身に付かず、相応の知識・経験を持つ人材が必要となる。必要なスキルについては上述の「知財人材スキル標準」に網羅的な記載があるが、その内容は膨大であり、そのようなスキルを身に着けた人材の育成や獲得は、IPランドスケープ導入の前に立ちはだかる、大きな課題である。
また、IPランドスケープの導入や運営をマネジメントする組織や制度についても、「知財人材スキル標準」に少しは触れられているが、企画立案から経営決裁に至るまで、ひと筋縄では行かない障壁が多いのも現実である。

「知財スキル標準」は、チェックシートも付属しており、IPLを始めやすい仕掛け。一方、その膨大な中身に圧倒されてしまう向きも・・・。せっかくの大作、上手い活用方法が思案のしどころ。
3)目標設定の問題
何のためにIPランドスケープを導入するのか?筆者が受ける相談には、この目標設定に問題あることが意外と多い。
「とにかく特許マップを上層部に見せたい」「知財部門の地位を向上させたい」など、動機が一面的であったり、「IPランドスケープで何か良いテーマを見つけたい」など、理由が漠然としている事が多い。そのような状態だと、残念ながらIPランドスケープの導入に至るのは、かなり困難と言わざるを得ない。
そもそも会社・組織の経営・事業・研究が抱える問題の本質は何か、どのような解決策が適当か、といった切り口から入ることが肝要であり、そうした本質を探るには、相応の手間と時間を要する。場合によっては、IPランドスケープの問題というよりも、人事制度や組織風土の問題に行き当たることも多い。

「知財部門の社内ステータスが低い」という悩みは割と多く、その解決にIPLを使うのは、手段としては悪くないかと。しかし、そうした意図は、社長や役員ならば見抜いてしまうもの。やはり、知財という枠を超えて、事業や研究にコミットする姿勢を見せるのは不可欠。

逆に、IPLに過剰とも言える期待を寄せる社長や上司もいて、これはこれで厄介。「IPLなら未来予測ができるんだろ?」などと言われると、答えに詰まることも。そこは素直に「チャレンジしてみます」と言いつつ、貰ったチャンスをどう活かすか、知恵の働かせどころ。
4.IPランドスケープを導入する手段
会社・組織の規模、人材構成、組織風土、ポリシーなど、個別の事情にも左右されるが、IPランドスケープを導入するための切り口としては、幾つかのパターンに分けられる。そこで以下、代表的なパターンを幾つか挙げる。
1)スモール・スタートと事例蓄積
IPランドスケープの始め方としては、まず幾つかのテーマをピックアップし、評価指標や分析手段等を絞り込んだ上、少しずつ事例を積み上げて行く、いわゆる「スモール・スタート」が、一般的に受け入れられ易い方法と言える。
特定の研究開発テーマ、市場成長性や競争優位性といった特定の評価指標、マトリックス表や折れ線グラフといった特定の分析手段を前提に置いた上、狭い範囲で試行錯誤を繰り返すことで、なるべく効率的に早期のアウトプットを目指す方法論である。
進捗管理が簡単で、成果物も明確なため、着手のハードルが低いやり方と言える。とにかく小規模でスタートを切り、地道に経験を積み重ねて、徐々に一般的な方法論や組織体制にたどり着くのが、IPランドスケープの導入から定着に至る近道とも言える。
しかし、競合・代替技術の出現可能性、有望な顧客又はパートナー候補、保有する知財の売却可能性など、目的によって採用すべき手段や難易度は相当に異なり、せっかくスモール・スタートしても、あまり難しいテーマや分析に手を出すと、結論が出せない場合も多々ある。
また、IPランドスケープは必ずしも万能ではない。過大な期待を抱くと、現実とのギャップに押しつぶされて導入に失敗することになる。最初はなるべく簡単なテーマを選んだ上、「探索段階のテーマ評価用」「3C分析の情報収集用」など、適用場面を限っておくのも手である。
上記で市場成長性と競争優位性を挙げたのは、筆者の経験上、経営レベルでそれらの点を危ぶんでいるケースが多いためである。この場合、IPランドスケープは「市場成長性と競争優位性を評価するツール」と位置付けることになる。
もっとも、以上のようにスモール・スタートを切ったとしても、情報収集の環境整備が不十分、情報解析するスキルを持った人材不足、判断基準や方法論への迷いなど、つまずく場面も多い。そのような場合、以降に述べる手段を織り交ぜることになる。

ここでのテーマ選びは割と重要。最初のプレゼンが刺さらなければ、その後に挽回するのは厄介。プレゼン相手(キーパーソン、決裁権限者)が興味を持っているテーマを探った上、それに合わせ込んだ内容を作り込むことも重要。
2)既知テーマの仮想分析
上述した通り、IPランドスケープの導入段階では、市場成長性や競争優位性などが既に見えているテーマなど、敢えて簡単なテーマを選ぶのが望ましいが、一方、過去の良く知られているテーマを例に取って、ある程度予想された結論に向かって、IPランドスケープ的な手法で“後追い”してみるのも効果的である。
既知のテーマとしては例えば、ガソリン車に対する電気自動車、白熱電球に対するLED照明、固定電話に対するスマホなど、古い例では、ブラウン管に対する液晶テレビ、レコードに対するCD、写真フィルムに対するデジタルカメラ、などが挙げられる。一方、旧技術が必ずしも明確でないような革新技術、例えば、光触媒、バーコード、洗浄便座、カーナビ、炭素繊維、内視鏡等も良いだろう。
既知のテーマは情報収集も容易である。そうした情報を利用して、旧技術と新技術の衰退と成長を折れ線グラフで比較したり、該当する技術を持つ企業(出願人)群の出願動向を対比したりなど、市場成長性や競争優位性を予想する“仮想分析“は、経験を積む上で効果的な手法と言える。
また、このような“仮想分析“により、特許件数の増加時期と市場拡大時期にズレがあることや、例えばLED照明の場合、製品化のキーとなる技術はチップだけでなく封止材もあるなど、情報分析のコツを会得できるというメリットもある。

誰もが知る過去事例でプレゼンできれば、聞いてる方もイメージし易くて吉。できれば自社の成功事例、無ければ近い業界の過去事例を。親しみやすいテーマの過去事例で仮想分析を重ねれば、IPLのテンプレートのようなものも次第に出来てくる、といった効果も。
3)外部専門家の活用
IPランドスケープの導入に当たって、まずは外部の専門家(コンサルティング会社を含む)にアドバイスを依頼するケースも多いだろう。「IPランドスケープを推進するに適当な人材が居ない」「そもそもIPランドスケープというものに馴染みがない」といった理由によるもので、筆者もそのような依頼を受けることが多い。
外部専門家への依頼で大切なのは、主体はあくまで社内人材だという点にある。外部専門家には個性があり、特許調査、情報分析、戦略支援など、提供するメニューも各々で異なる。どれが自社にマッチするか、選んで活用するのはあくまで社内人材である。外部専門家に丸投げしてしまうと、提案や指摘を上手く咀嚼できず、振り回されることにもなり兼ねない。
また、外部専門家と自社との「相性」というものも無視できない。担当者レベルで意気投合しても上司が納得しない、といったケースはよく見られる。それを軽視して依頼すると、アウトプットが出ないどころか、評論家のように批判する者まで現れ、高い費用を払いながら社内の雰囲気を壊すことにもなり兼ねない。
そのような事態に陥らぬよう、最初に適切な社内人材を指名した上、外部専門家の活用、進捗のマネジメント、レポート等のアウトプットに主体性を持たせることが肝要である。外部専門家に対しては、方法論のみ示して貰う、データ分析を任せる、最後のレポートに重点を置くなど、役割を曖昧にせず明確に伝えた上で依頼するのが望ましい。

外部専門家といっても多種多様。単なるマップ作成だけでも困るし、お仕着せの戦略コンサルティングも困るし・・・自社にフィットした専門家を得るのは、意外と難しいです。望ましくは、IPL導入から運用までしっかり伴走してくれる人。私もそこを目指しています。
4)社内人材の活用
上述した社内人材として、どのような者を選べば良いのかも、悩みの種である。
IPランドスケープに求められるスキル自体は、上述の「知財人材スキル標準」で挙げられている。最近では「知財管理技能検定」や「知財アナリスト」といった各種資格も設けられており、スキルを身に着けた人材を育成したり見極めたりする基盤は整備されつつあると言える。
まずは社内人材がOJT等で導入を図るのが一般的と思われるが、上述したスキル標準を身に着けるには相当な時間を要する。即戦力を採用するとしても、新たな企画に適性ある人材を見極めるのは難しい。
資格で担保されるスキルは重要ではあるが、資格を持つ者にIPランドスケープの導入や推進を任せるのが妥当とは限らない。IPランドスケープが広まり始めた当初、特許マップに注目が集まった経緯から、特許調査に優れた者にリードさせるケースも多く見られたが、それが適切とは必ずしも言えない。
IPランドスケープに限らず、新たな企画を推進する者にとって重要なのは、まずは好奇心と忍耐力、そして何より、専門スキルよりも対人スキル、と筆者は考えている。
仮にIPランドスケープに適性があっても、興味がない者に業務命令で無理強いしても上手くは行かない。また、新たな企画への批判は少なからず発生するものであり、それに耐え切れずに諦めるようでは定着しない。さらに、専門スキルがあっても、殻に閉じこもったり独断専行するようでは、周囲の協力は得られないであろう。
そしてより大切なのは、ヒアリング場面での傾聴姿勢、タイムリーな報告・連絡・相談、簡潔で無駄ないレポートといった、通常求められる対人スキルに加えて、周囲を巻き込むようなコミュニケーション能力を備えた社内人材を得られるか否かであり、それが、IPランドスケープのような新たな企画の成否を左右すると言っても過言ではない。

いわゆる知財業界の人よりも、対象となるテーマを推進する主役である技術者や企画マンが自身で動く方が、IPL導入の推進には効果的だと感じます。その場合、知財担当はその主役に伴走する形ですね。
5)“仕組み”としての定着
最終的には、IPランドスケープを“仕組み”として会社・組織に定着させることが重要である。
上述したような課題を解決していくには、優れた社内人材ひとりでは進まない。適切なリーダーを据えた上で、様々なスキルや志向を持った複数のメンバーによる「チーム」を構成するのが望ましい。
望ましくは、IPランドスケープをミッションとする公式な「部署」を設置できれば尚良い。会社・組織の上層部から理解を得ることが大きなハードルだが、IPランドスケープが“本職“として表明された組織ならば、プレッシャーはあるものの、推進や易い形態であることは間違いない。
もっとも、いきなりIPランドスケープの「専門部署」というのは現実的ではない。既存組織の既存メンバーが、従来業務の傍らでスタートさせるのが一般的であろう。しかし多くの場合、従来業務に手を取られ、なかなか進まないケースの方が多い。少なくとも、IPランドスケープ導入や推進の鍵を握るメンバーは、ひとりでも良いから「専任」とするのが望ましい。
一方、首尾よく専門部署を設立できたとしても、所定の期間で上手く成果を示せなければ、“お荷物の部署”になり兼ねない。上述した1)~4)の施策を踏まえた上で、スモール・スタートによる早期の成果、その効果的な社内宣伝、会社・組織の上層部や経営陣からの理解・支援の獲得に至るまで、戦略的に進めることが求められる。

多くの知財部門が目指すところで、いつまでも手の届かないところ。社内の理解不足や非協力を嘆く前に、小規模でも報告する機会があれば逃さず、しつこくプレゼンを繰り返し、最後は社長が顔を覚えるくらいまで頑張ろう!
5.会社の規模とIPランドスケープ
1)中小企業・スタートアップの重要性
IPランドスケープは、大企業よりもむしろ、中小企業やスタートアップにこそ必要、と筆者は考えている。
そもそも特許を始めとする知的財産は、資力に乏しい個人レベルの発明家でも、そのアイデアだけで大手企業とも対等に渡りあえる“武器”である。そういう意味では、個人や小規模な組織にこそ、知財という“武器”の効用を最大限に発揮させることのできるIPランドスケープが有用と言える。
中小企業庁の統計によると、日本における全企業(約380万件)に占める中小企業の割合は99.7%であり、圧倒的に中小企業の方が多い。また、全従業者(約4700万名)に占める中小企業勤務者の割合は69.7%であり、こちらも中小企業の方が多数派である。
さらに、独立行政法人経済産業研究所の調査によると、総売上高が大企業の計155.4兆円に対して中小企業は計137.5兆円、経常利益が大企業の計17.5兆円に対して中小企業は計6.5兆円であり、こちらは大企業に若干及ばないものの、我が国の経済の半分は中小企業が担っていると言って過言ではない。
しかるに、IPランドスケープの取り組みを含む知財活動は、大企業が主体となっているのが実情である。大企業が多くの特許を獲得している現状は、上述した知的財産の意義からして本当に適切なのか、筆者個人的には疑問に感じるところで、筆者が中小・スタートアップへの知財支援を重視している理由でもある。

中小の支援をしていると、知恵や技術の宝庫だなあ、といつも感じます。しかし、その価値がきちんと認識されていない取引が大半。中小の場合、特許を出すのが必ずしも良いとは限らず、どうすれば中小の価値を最大限に活かせるか、難題ですが意義の大きなテーマです。
2)中小企業・スタートアップへの知財支援
そうは言いながら、筆者がこの記事で紹介してきた内容は、主として大企業が対象、中でも知財部門の存在を前提にしたもの、と言わざるを得ない。
これには、そもそもIPランドスケープの取り組みが大企業を対象に始まっており、また、上述のガイドブックや知財スキル標準も、知財部門を持ち得る企業を前提に書かれている、といった背景がある。筆者自身も大企業出身であり、IPランドスケープに関する一般的な解説となると、どうしても大企業寄りになってしまうのが正直なところである。
しかし上述した通り、IPランドスケープを必要としているのは、むしろ中小企業やスタートアップの方である。資金や人材に恵まれている大企業であれば、種々の課題はあっても自前でやり遂げることは可能だろうが、中小・スタートアップの場合はそうは行かない。社長に相当の意欲があっても、社内で賄うには相当に無理があり、外部からの支援がどうしても必要となる。
中小・スタートアップへの知財支援については、INPIT(独立行政法人工業所有権情報・研修館)が出している「IPランドスケープマニュアル」が参考になる。基本的な進め方や具体的な事例、フレームワークや情報収集など、IPランドスケープに必要な要素が網羅されており、 IPランドスケープの“地に足の着いた指南書“として、大企業でも参考になる内容となっている。
もっとも、中小・スタートアップは大企業よりもはるかに個性的であり、取るべき戦略や施策も千差万別である。その意味では、IPランドスケープを適用するハードルは大企業に比べて一段と高くなる。一般的なメニューの押し付けは通用せず、それぞれの会社・組織の個性にあわせた“アレンジ力”が不可欠となる。
現在、特許庁やINPITだけでなく、内閣府、中小機構、地方自治体、商工会議所、日本弁理士会、その他民間機関などにおいて、中小・スタートアップに対する知財支援事業が盛んである。そうした支援を躊躇せず求めるのも、ひとつの有効な手段と言える。

中小への支援メニューや窓口は、とてもたくさんあります。あり過ぎて迷うくらい。私も複数の窓口経由で知財支援させて貰っています。しかし、どの案件も課題はバラバラ。最後はたいてい、経営レベルの課題に行きつきます。そこをIPLで解きほぐせるか?なかなかハードな世界です。
6.さいごに
大企業であろうと中小・スタートアップであろうと、IPランドスケープの導入や推進の成否は、ひとえに人材次第と言っても過言ではない、と筆者は考えている。
如何に優れたマニュアルがあろうと、それを活用できるか否かは、それを担う人材に依存する。筆者のような、いわゆる“プロ人材”への支援依頼も次第に増えているが、それを如何に活用するかも、また人材次第である。
オープン&クローズ戦略やビジネスモデルを始め、IPランドスケープから生まれる戦略は重要だが、それ以上に、人材と人材が如何にコラボレーションして相乗効果を生み出すか、そこが何よりも重要と筆者は考える。
以上

そのプロ人材が、IPLのテクニックとコミュニケーション、どちらを重視しているのか?・・・私自身は会社勤務のとき、プロ人材をそのような目で見ていました。今は逆の立場・・・本質を見極めるコミュニケーションを心掛け、精進を続けたいと思っております。
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