特許から分かる!「衰退する技術分野」の読み方

前回、成長する技術分野の捉え方について解説しましたが、今回は逆に、衰退する技術分野についても、同様に見て行きましょう。

特許分類で「衰退する技術分野」を知る方法
前回と同様、国際特許分類に着目して、に着目して、過去10年間の出願件数の内、最終年度に件数が大きく減少している分類をピックアップしました。
具体的には、前半5年間(2014~2019年度)の年平均件数に対して、最終年度(2019年度)の割合が小さい順に並べています。
「衰退する技術分野」のパターンと傾向を読み解くヒント
成長する技術分野と違って、急激に減少するなどのバリエーションは見られず、どれも徐々に減少する傾向が見て取れます。
自動車がガソリンエンジンからハイブリッドや電気駆動にシフトし、火力発電が次世代エネルギーにシフトしつつある時代の流れを見ると、F02、F01、F23の減少傾向は納得感がありますね。
また、新聞や紙の印刷物が、スマホやタブレットといった電子媒体に移行している流れからも、B42の減少はもっともかと思われます。
ナノテクノロジーが減少しているのは意外性な感じです。ただ、この傾向はどうも日本(日本への出願)だけのようで、米国、欧州、台湾、韓国への出願は結構な数があります。日本人(日本企業)も外国への出願は多い状況です。
上記のデータは日本への出願だけに限っているので、グローバルな傾向を見るには、母集団をグローバルに取る必要があります。
衰退から成長への起死回生策はあるか?
以前、カメラ業界の方に聞いた話ですが、銀塩フィルムからデジタルへの移行が明確となった2000年以降も、技術者は銀塩フィルムという旧技術に執着し、なかなか研究を止めなかったそうです。
市場は既に衰退しているのに、特許は出願され続けた、ということになります。これを聞くと、特許分析だけからでは、衰退する市場を読み解くのは厳しいかも知れませんね。
一方、衰退する産業と見えても、ビジネスモデル次第で、新たな産業に生まれ変わる事例もあります。例えば、星野リゾートの旅館業再生、ダイソンのサイクロン掃除機、JR九州のリゾート列車「ななつ星」事業など、挙げれば結構あります。
もし仮に、衰退する技術との傾向が見えたとしても、それは逆に、起死回生のチャンスかも知れませんね。