無料検索システムの比較~「J-PlatPat」 vs 「PATENTSCOPE」
主要な無料検索システムの内、J-PlatPatは日本の特許・実用新案・意匠・商標、PATENTSCOPEは国際特許出願について、収録数や検索機能が充実しています。
一方、いずれも各国特許を収録しているなど、情報や機能に重複するところもあるので、筆者は両方を使ってチェックすることもあります。
今回、両者の違いについて、簡単に触れたいと思います。以下、キーワードとして「登山用」を使った検索結果を比較します。
キーワードの入力方法による違い
J-PlatPatとPATENTSCOPEでは、キーワードの扱いに、少々違いがあります。
「発明の名称」(タイトル)で検索すると、例えば以下のように、””(クォーテーションマーク)の有無で、ヒットする件数が異なります。
- 登山用と入力した場合:J-PlatPatなら67件、PATENTSCOPEでは91件
- “登山用”と入力した場合:J-PlatPatでは0件、PATENTSCOPEでは71件
これは、両者のシステム内部で、以下の違いがあるためのようです。
- J-PlatPat:「登山用」と一連の文字列として認識する。””(クォーテーションマーク)も文字として扱う。
- PATENTSCOPE:「登山」と「用」を分けて認識する。一連の文字列として認識させるには“”で囲む必要あり。
フィールドによる違い
「発明の名称」以外のフィールドではどう違うか、下表で比較してみました。(PATENTSCOPEの()内は、キーワードを””で囲わなかった場合。)
フィールドにもよりますが、両者の結果は結構違います。両社が一致しないのは、主に以下の理由によるようです。
- 収録年数:文献が電子化されているのが、J-PlatPatでは1972年頃以降、PATENTSCOPEでは1977年頃以降(要約や請求の範囲は1993年頃以降、全文は1985年頃以降)。
- 収録ミス:「発明の名称」の場合、にてPatentScopeの方が多いが、J-PlatPat側に該当する出願番号が無い、または、中身が異なっている。(PatentScope側の機械翻訳ミスと推察)
日々進化する無料検索システム
検索の目的にもよりますが、入力ルール、収録件数、翻訳ミスなどのような違いは、結果に微妙な影響を及ぼすので、少なくとも精緻な検索を要する場面では、その違いを認識しておく必要があります。
また、どの検索システムを使うかは、ユーザーインターフェースや検索コマンドの違いなど、検索する者の好み次第というものが多いようです。
一方、いずれの検索システムも、日々進化しています。以前は、PATENTSCOPEの方が先進的な機能を意欲的に取り入れている感がありましたが、J-PlatPatも徐々にそのような方向に向かっている兆しがあります。
そうした日々の変化については、追っていくのが大変ですが、知っておいた方が便利、知らないと遅れをとる、ということもあるので、専門家の発信も見ながら、できるだけ追っておきたいものです。