特許動向

国籍別の特許動向の違いは?

前回まで、出願国出願先、つまり出願される側の国)の特許動向を見てきましたが、今回からは出願元、つまり出願する側の特許動向を、国籍別に見てみたいと思います。

しかし、多くの特許出願は出願人の国籍をデータとして持っていません。そこで、その代わりとして第一国(最初の出願国、より正確に表現するならば「優先権主張の基礎となる出願の出願先となる管轄官庁の属する国」)を使います。

日本人(日本企業)ならば、第一国は日本を選ぶことが大半と思われます。これは多くの他国でも同様の傾向にあります。出願人の国籍はデータとして無くても、第一国については必ずデータがあります。つまり、出願人の国籍を表すデータとして第一国を採用すれば、当たっている確率が高いと言えます。

ただし、あくまで確率が高いだけなので、必ず誤差が含まれます。また、第一国は複数存在することがあるため、それも誤差の元になります。それを承知の上で、あくまで概算と割り切って使用する必要があります。

 

検索式

The Lensを用います。検索式は下図の通りです。Lensでは”Priority Jurisdiction”(優先管轄官庁または国)というフィールドがあるので、これを第一国(国籍)を表すものとして利用します。下図ではCN(中国)を選んでいます。

 

主要国の特許動向比較

以下、国籍(第一国)別の動向を比較します。同じデータを表(上図)とグラフ(下図)で表しています。特許出願件数の差異もさることながら、平均ファミリー件数(1出願あたり何件のファミリーを出願しているか)の差異が目立ちます。

 

中国・欧米・日韓の大きな違いとは?

上記の差異は、各国人・各国企業の特許出願に関する姿勢の違いを表していると言えます。大きく、中国・欧米・日韓の3つに分類できると思われます。

以下、イメージしやすいように、敢えて「日本人」「日本企業」という表現を使っていますが、実際は「日本を第一国として出願している出願人」を指します。

また、「平均ファミリー件数」が多い場合、それを「外国への出願意欲が高い」と解釈していますが、実際には国内への優先権主張出願や分割出願なども含まれるため、厳密な解釈ではないことが前提です。

中国人中国企業)は、全世界の出願件数の半数以上を占めるほど圧倒的な出願アクティビティを示している。一方、そのアクティビティは自国への出願に重点が置かれており、グローバルに特許を獲得しようとする意欲は平均的に低いと言える。
欧米人欧米企業)は、複数国に出願する割合が高く、一般的にグローバルな特許網構築を意識する傾向が高いと言える。ただし、米国に限っては、他国籍であっても第一国出願先として選択される傾向が高いため、多少は割り引いて考える必要がある。
日本人日本企業)及び韓国人韓国企業)は、外国への出願に関しては、一般的に「自国への出願プラスα」という意識である可能性が高い。

次回以降、各国の出願人がどのような国での特許獲得を目指しているか、その時系列変化を含めて、国籍(第一国)別に見て行きたいと思います。

お読みいただきまして、誠にありがとうございました!

 

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