「おもしろ特許」と呼ぶには、ちょっと不謹慎かも知れませんが、今回は「火葬」に関する特許を取り上げます。
つい最近、身内に不幸があり、通夜・葬儀・火葬の一連を執り行ったのですが、その過程で、いろいろな技術が使われていることに気づき、職業柄、ついつい興味を持ってしまった次第です。
まず、火葬に関する母集団を取得。国際特許分類(IPC)では、F23G1「人または動物の死体の火葬に特に適合した方法または装置」というのがあります。これについて、最近20年くらいの特許・実案リストを取得(J-PlatPat)。137件がヒットしました。
ヒットしたタイトル群を、テキストマイニング(ユーザーローカル社)に掛けてみると、下図の通り。頻出するワードは大きく表記、一緒に出現する頻度の高いワード同士は近くに配置されています。ペット関連が多そうな感じ。昔流行した「肉骨粉」などというワードも見られますね。
テキストマイニングの結果のひとつとして、「共起関係」、つまり、一緒に現れる頻度の高いものを線で結んで示すものがあり、今回は下図の通りです。化学メーカー勤務の筆者としては「粒子」などは気になるワードです。
ちなみに、出現したワードが、ポジティブな意味合いを持つのか、それともネガティブか、ということも表示してくれます。最近のディープラーニング技術の成果のひとつで、感情表現を理解しようとする試みのひとつです。
この火葬に関する過去20年間の特許出願件数ランキングは下図の通り。筆者は仕事としてお付き合いが無い業界なのでよく知らないのですが、特許分類で母集団を取ると、知らない業界でも、その勢力図の一端が分かるような気がして、面白いですね。
その中、興味深い特許として、合同会社「そのまえに」による「焼却方法および葬儀方法」をちょっと見てみます。
技術的には、遺骨を細かく粉砕することで燃焼効率を高める、といったものですが、興味深いのは、それを葬儀のセレモニーと結び付けている点です。
下図では、右側が遺族の参列する場所、左側には遺骨の焼却炉があり、真ん中には間仕切りがあります。遺骨は粉砕した状態で遺族側に置かれ、それに礼拝などをした後、間仕切りの窓を通じて焼却炉側に移され、焼却されるのを見守るという仕組みです。
いわゆるビジネスモデル特許の要件には当てはまりませんが、事実上は立派なビジネスモデル。ちょっと深掘りしてみたい業界だなと感じた次第です。