知財争訟

「QRコード」の特許に関する争い

QRコード」については、デンソー(知財の権利を持っているのは株式会社デンソーウェーブ)の文字通り”専売特許”かと思われましたが、意外とそんな簡単には行かないようで、どうやら、特許に関する争いがあったようです。

A・Tコミュニケーションズとその特許群

A・Tコミュニケーションズ株式会社という、ロゴやイラストが入ったQRコードを開発し、事業をしている会社があります。

ロゴ、イラスト、透かしの入ったQRコードに関する特許を多数持っており(下図はその一例)、エンターテインメントだけでなく、偽造防止等のセキュリティにも取り組んでいるようです。

A・Tコミュニケーションズとデンソーウェーブとの和解

そのA・Tコミュニケーションズのサイトに、2016年11月15日付で、以下の記事がありました。

裁判所の調停で和解ということは、A・Tコミュニケーションズとデンソーウェーブの間で、何らかの争いが持ち上がり、おそらくはどちらかが裁判に訴えた、ということになります。

一方、それを遡ること5年前、両者は共同で、”デザイン入りQRコード”の普及活動を行う、とのプレスリリースも見られます。

いずれも、A・Tコミュニケーションズのサイトだけに見られ、デンソーウェーブのサイトをちょっと探しただけでは見つかりませんでした。

限られた情報からの推察ですが、最初は協力関係にあったものが、何らかの原因で仲違いした、ということかと思われます。

デンソーウェーブが取り下げた特許

ちなみに、特許を取り下げたかどうかなどは、J-PlatPatから経過を見ることができます。デンソーウェーブが取り下げた特許2件については、以下の通りです。(ひとつは、審査請求期限が迫ってたので、そのまま放置と言うことになったのかと想像します。)

争いの顛末

A・Tコミュニケーションズの記事を見る限り、デンソーウェーブが特許を取り下げているので、おそらく、デンソーウェーブ不利の状況で裁判が進行したのでは、と推察します。裁判上の和解と言うのは、判例検索には出てこず、当事者が公表しないと中身が分からないので、詳しくは何とも言えませんが・・・

デンソーウェーブが取り下げた特許をザっと見てみると、いずれも「デザイン性の高い画像付二次元コードを自動で生成できる二次元コード生成装置」に関するもので、おそらく、これらがA・Tコミュニケーションズの商売の邪魔になる、ということで争ったのでは、と想像します。

逆に言えば、デンソーウェーブは、「デザイン性の高い画像付き二次元コード」に対するA・Tコミュニケーションズのオリジナリティを、ある程度は認めた、ということでもあるかと思われます。

なお、この2016年11月の時点では「円満解決」となっていますが、どうやらそう簡単な話でも無いようで、最近まで商標の争いがあったようですが、それは別の機会に。

お読みいただきまして、誠にありがとうございました!

 

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