オープン&クローズ戦略について先に触れましたが、それと、知的財産権との関係は、どうなっているでしょう?
これも、筆者の独自見解ですが、商標と特許について注目すると、およそ以下の図のようになるかと思われます。
この図では、商品は商標と特許という知的財産権で守られており、各々の権利が持つ機能により、異なる切り口で”商品の魅力”がオープンにされています。それらの機能により、顧客や協業が惹きつけられ、産業が発達する(市場が創造・拡大される)という建前になっています。
一方、商標も特許も、”自社の魅力”をクローズな権利という形にしてしまい、自社が独占するための知的財産権として機能します。自社の魅力として、商標では信用、特許では発明(技術)を、それぞれ保護しています。
そうすることで、商品を提供する企業が自ら、信用を高める努力したり発明を活発に行うモチベーションとなり、結果的に顧客が守られ、発明が公開されることで技術も進歩する、という建前になっています。
ここで、敢えて”建前”としたのは、必ずそうなる保証は無いからです。商標法や特許法のような産業振興を意図した法律は、だいたいそういった”物語”を前提に作られています(商標法第1条や特許法第1条にその”物語”が書いてあります)。
そうした物語は”理想”と言えますが、それと”現実”とは、やはりギャップがあります。我々はそのギャップに苦しみながら、日々、創意工夫をしているとも言えます。