最近、中国の特許件数が世界一になった、などのニュースを目にしますね。
ところで、中国だけでなく、世界の特許出願状況って、いったいどのようになっているのでしょうか?
世界の特許動向を知るには、特許庁が毎年発行する「特許行政年次報告書」が便利です。
https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2021/
これは、「本編」と「統計・資料編」に分かれています。
- 本編:データに基づく解説です。ザクっと全体像を知るのに良いです
- 統計・資料編:本編の根拠データです。CSV形式でも提供されており、細かくデータ解析したい方には便利です。
世界の特許出願件数・登録件数
2019年に世界中で出願された件数が約322万件、登録された件数が約150万件。
その内、自分の住んでいる国に出願したものが約7割、自分の住んでいる国で登録されたものが約6割。
自国民(居住者)より外国人(非居住者)の方が、若干ですが登録率が高いようです。
自国での登録件数 vs 外国での登録件数
中国の特許出願件数は、確かに世界一です。しかし、他の国と比べると、ちょっと異なる特徴的な傾向が見られます。
中国人(厳密には中国の居住者)は9割方、中国に出願しているようです。これは、他国人が4~6割なのとは圧倒的に異なります。
中国における登録率の低さ(機会があれば別途ご紹介します)と考え合わせると、中国に限っては、特許性が低くてもとにかく出願、という傾向があるように思われます。
五大国における国間での出願・登録状況
特許の世界では、出願件数が多い中国・米国・日本・欧州・韓国を、俗に「五大国」と呼んでいます。
その五大国の間でも、お互いの国民(居住者)がお互いの国に特許を出しております。
この特許行政年次報告書では、五大国が特許を出し合っている状況が、ビジュアルに紹介されていて、見ているだけで興味深いです。
これによれば、中国には米国・日本・欧州が結構な件数を出しに行ってますが、逆に中国から他国にはそれほど出されていません。
また、日本・欧州は米国と同じくらい中国を重視、韓国は米国に偏重、米国は中国・欧州・日本にバランスよく出願、といった感じです。
これらの状況は、各国の産業構造にもよると思われ、深堀りすれば面白いかもしれませんね。