動作が自然な「アンドロイド」の発明【おもしろ特許】

今回は、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、略称「ATR」による「アンドロイド」の発明をご紹介します。
NTT、KDDI始め111社の出資により設立されている、情報通信関連分野の研究に特化した会社。研究成果を特許としてライセンスする他、自らもベンチャー企業を設立し、各種事業を行っています。
アンドロイドの動作を自然に見せる工夫とは?
幾つかあるATRの特許から、今回は特許第6701483号「アンドロイドロボットの制御システム、装置、プログラムおよび方法」を取り上げます。
先にご紹介したドクター中松の発明では、発声と動作の連動を意識したものでしたが、今回の発明では、さらに動作を自然に見せる、という課題に注目しています。
例えば、発声と唇の連動、笑い声と表情の連動、発声とジェスチャーの連動、といったことを、音声の特徴に応じて動作を調整するアルゴリズムに組んで工夫しています。
中身は少々複雑。いずれも、大阪大学の石黒浩教授が共同発明者となっています。石黒教授を模したアンドロイドが有名ですが、そちらにも応用されているかも知れませんね。
アンドロイドは遠隔操作?自律稼働?
ATRのアンドロイドに関する特許は幾つかありますが、いずれの発明も、人間による遠隔操作が想定されているのかな、という感じです。
クレーム(権利範囲)には、必ずしも遠隔操作と明記されていませんが、明細書(発明の解説部)は、遠隔操作が前提の記載となっています。
一方、アンドロイドと言えば、自律的に判断して稼働する人型ロボット、といったイメージもありますね。とはいえ現実問題、自律的なアンドロイドには、まだまだ課題が多いのかも知れません。
実際の応用場面では、宇宙空間において宇宙船の外で作業するのを、宇宙船内で人間が遠隔操作する場面が考えられます。場合によっては、NASAが地上で操作する、なんていうこともあるかも知れませんね。
実際、惑星探査機「ボイジャー」などでは、相当に離れた距離であっても、遠隔操作が普通に行われているようです。アンドロイドで宇宙を探査する日も近いかも知れませんね。
なお、アンドロイドの自律的な判断は、いずれAIが解決するかも知れません。本件のような発明と組み合わされば、いずれ「本物の人間」と区別が付かないアンドロイドが出現するかも?
以上、今回はATRによる「アンドロイド」の発明をご紹介しました。