「永久機関」の特許がある?【おもしろ特許】

いわゆる「永久機関」は、”絶対に特許にならない”テーマのひとつです。
永久機関は、エネルギーを与えなくても永久に仕事をし続ける、いわば”夢”の機械ですが、熱力学の法則により”実現不可能”だと証明されています。
実現が不可能な「永久機関」の発明は、当然ながら特許にはなりません。特許の審査では「自然法則を利用していない」という理由で拒絶されます。
それでも、「永久機関の特許」を獲ろう!という人は後を絶ちません。発明家にとっては、永遠の”夢”のようです。
ところが、「永久機関」に触れており、かつ、登録になっている特許が、いくつか存在します。今回、そんな特許についてご紹介しますね。
「永久機関」について触れている特許
J-PlatPatを使い、「永久機関」が全文のどこかに記載され、かつ、登録されているものを検索すると、以下のリストがヒットしました。ずいぶん多い印象です。
しかしながら、これらの中身を見てみると、多くは下図のように、永久機関を否定する記載になっています。
「永久機関」が登録になってる?
しかしながら、登録になっている案件が1件、存在します。それは、以下のような記載になっており、はっきりと「永久機関」と書いてあります。
実は、これは「特許」でなく「実用新案」です。実用新案は、審査無しで登録になる、というのがカラクリです。
それじゃ、登録になっているから有効かと言うと、残念ながらそうではありません。結論として、この登録実用新案は無効です。理由は上述した通り、実現不可能だからです。
では、なぜ登録されているのでしょう?その理由は、実用新案制度の趣旨にあります。
実用新案は、特許と違ってより簡単なアイデアを対象としています。そういったアイデアは、製品にして販売しても寿命が短いものです。
すると、特許のように時間をかけて審査していると、その間に旬を逃してしまう可能性があります。
そういったことを防ぐために、簡単なアイデアはひとまず実用新案として、審査を経ずにいち早く権利化させることで、特に中小企業に便宜を図った制度と言えます。
しかし、その副作用として、上述した案件のように、無効の登録も多くなります。そんなときは、文句のある人には自ら特許庁に訴え出て貰おう(「無効審判」と呼びます)、という仕組みになっています。
やはり「永久機関」は夢?
以上、残念ながら、「永久機関」が特許として認められることは無い、というのが結論です。
今後も「永久機関」が実現することはなく、特許や実用新案になることも無いと思いますが、一方で、相対性理論や量子もつれなど、従来の物理法則の常識が破られることは多々あります。
いつの日か、何か全く新たな原理で「永久機関」が実現される時代が来るかも?(来ないだろうなあ・・・)
今回は「永久機関」の発明についてご紹介しました。