特許分類「Fターム」の5桁で構成される「テーマコード」を用いて、技術テーマ別の特許動向を眺めています。(気まぐれで更新しており、体系的でもなく、分析の切り口も思いつきですが、いずれまとめたい、とは思っております。)
今回は、テーマコード2B053「条溝・孔の形成・覆土」です。「条溝」というのは耳慣れない言葉ですが、種を蒔いたり排水したりするための溝のことです。
例えば下図(特許6292586より)は畑の断面図ですが、長方形や楔形に溝を切ったところに、種や排水のための砂が撒かれている状態です。この条溝の形成と種蒔きや砂投入を同時に行う農機に関する発明です。
2012年1月1日以降の約10年間に出願された特許出願を対象に、J-PlatPatにて検索したところ、ヒットしたのは85件のみ(2022年9月3日現在)。他の技術分野に比べてひと桁少ない感じです。
頻出するキーワード
溝や穴を形成する関係の技術分野ですが、種を蒔くことが主な目的なので、種に関するキーワードが多く出現します。種を蒔いた後は土をかぶせる(覆土する)ので、それに関するキーワードも多くみられます。
※ユーザーローカル社のサイト「AIテキストマイニング」を利用して、発明の名称および要約の頻出キーワードを処理したもの。上の図が「発明の名称」のクラウド表示、中の図が「要約」のクラウド表示、下の図が「要約」の共起キーワード。名詞、動詞、形容詞は色分けされている。
出願件数推移およびランキング
全体の件数が少なく、また、他の技術分野(Fターム)と重複するケースが多いため、このFタームに関しては、傾向云々を評価するのは不適当かも知れません。上位にはクボタやヰセキといった大手有名メーカーも出現しますが、この技術分野をリードする、といった感じでもないようです。
※出願件数の推移は出願年毎に表記。2020年出願分は全て公開されているはずなので、それ以前の経変変化は確定データ。
出願人とキーワードの相関
上位メーカーについて、特徴キーワード(タイトル)のプロファイルを折れ線グラフで比較していますが、これも上述した通り、件数が少ないために、何か統計的な特徴を評価できるレベルにはなさそうです。
この技術分野のように、そもそも母集団が少ない場合は、特許マップで分析するのはあまり馴染まないと言えます。100件前後といった程度ならば、全件をひとつずつ読み込んだ方が、むしろ効率よく情報分析できると思われます。