特許分類「Fターム」(中でもFタームの5桁で構成される「テーマコード」)を用いて、技術テーマ別の特許動向を眺めています。(気まぐれで更新しており、体系的でもなく、分析の切り口も思いつきですが、いずれまとめたいなあ、とは思っております。)
今回は、テーマコード2B051「播種・植付けの前処理」です。農薬やら除虫やらが登場する技術分野になります。
2012年1月1日以降の約10年間に出願された特許及び実用新案が対象。J-PlatPatにて691件がヒットしました(2022年9月1日現在)。
頻出するキーワード
とにかく種子の病害を防止することに集中している技術分野であり、農薬を使うほか、被覆したり、シートを被せたりと、いろいろな工夫が推察されます。
※ユーザーローカル社のサイト「AIテキストマイニング」を利用して、発明の名称および要約の頻出キーワードを処理したもの。上の図が「発明の名称」のクラウド表示、中の図が「要約」のクラウド表示、下の図が「要約」の共起キーワード。名詞、動詞、形容詞は色分けされている。
出願件数推移およびランキング
住友化学、バイエル、BASF、シンジェンタが引っ張る構図ですが、2015年以降の減少が急激です。大手のバイエルはモンサントを2018年に買収していますが、同時期に除草剤の発がん性を巡る大規模な訴訟を起こされており、その影響もあるかと推察されます。
※出願件数の推移は出願年毎に表記。2020年出願分は全て公開されているはずなので、それ以前の経変変化は確定データ。
出願人とキーワードの相関
住友化学、バイエル、BASF、シンジェンタの上位メーカーに絞り、各々の特徴キーワード(タイトル)のプロファイルを、折れ線グラフによる比較です。いずれも、特定の系統に属する農薬組成物に関する発明が大半を占めます。
下図は上位を占める住友化学とバイエルの要約キーワードの比較です。「鉄粉」は住友化学に特有ですが、種子に鉄粉をコーティングすることで、病害虫防止効果があると共に、畑内での「浮遊」を防止するそうです。おもしろい考え方ですね。