各国の出願人がどのような国での特許獲得を目指しているか、その時系列変化を含めて、国籍(第一国)別に見ています。
今回は欧州(EP)です。
欧州籍の特許動向の特徴
以前の記事「国籍別の特許動向の違いは?」で触れた通り、欧米人(欧米企業)は、複数国に出願する割合が高く、一般的にグローバルな特許網構築を意識する傾向が高いと言えます。
平均ファミリー件数(1出願当たりのファミリー出願件数の平均値)は2.75と、米国籍(2.48)よりも高く、いわゆる五大国の中で最多です。
※以前の記事でも述べましたが、多くの特許出願は出願人の国籍をデータとして持っていないので、その代わりとして第一国(最初の出願国、より正確に表現するならば「優先権主張の基礎となる出願の出願先となる管轄官庁の属する国」)を使っています。
検索式
The Lensを用います。検索式は下図の通りです。Lensでは”Priority Jurisdiction”(優先管轄官庁または国)というフィールドがあるので、これを第一国(国籍)を表すものとして利用します。対象期間は、公開公報発行年を基準に2017年以降の5年半を取っています。
欧州籍の特許出願動向
下図より、欧州籍の出願先(国)の内、欧州(欧州特許庁)への出願は3割程度、他国向けがかなり多い状況です。この傾向は、少なくとも最近5年間の時系列でも、あまり変化が見られません。
Lensの標準グラフ機能では、凡例が件数順でなくて分かりづらいですが、日本以外は、米国、中国が多く、あとは、日本、韓国、ポーランドが並ぶ感じです。
ポーランドが多いのは意外ですが、労働コストの低さから、欧州だけでなく米国等からの投資、外資系による工場・研究所の設置が盛んで、日本にとっての中国や東アジアと同様の位置づけかと思われます。
次回は、五大国では無いですが、欧州特許の中でも多くのシェアを持つドイツからの出願を見てみたいと思います。