各国の出願人がどのような国での特許獲得を目指しているか、その時系列変化を含めて、国籍(第一国)別に見ています。
今回は日本(JP)です。
日本国籍の特許動向の特徴
以前の記事「国籍別の特許動向の違いは?」で触れた通り、日本人(日本企業)の外国への出願に関しては、一般的に「自国への出願プラスα」という傾向が強いと思われます。
ここには、高度成長期以降しばらく、日本が先進的な工業国であって、日本国内のマーケットも大きかった時代の名残があるような気もします。まずは日本に出願することが重要、日本にさえ出願していれば多くは問題なし、といった意識が残っているのではないかと、筆者個人的には感じる次第です。
※以前の記事でも述べましたが、多くの特許出願は出願人の国籍をデータとして持っていないので、その代わりとして第一国(最初の出願国、より正確に表現するならば「優先権主張の基礎となる出願の出願先となる管轄官庁の属する国」)を使っています。
検索式
The Lensを用います。検索式は下図の通りです。Lensでは”Priority Jurisdiction”(優先管轄官庁または国)というフィールドがあるので、これを第一国(国籍)を表すものとして利用します。対象期間は、公開公報発行年を基準に2017年以降の5年半を取っています。
日本国籍の特許出願動向
下図より、日本国籍の出願先(国)の内、日本内への出願は半分超、あとは他国向けとなっています。この傾向は、少なくとも最近5年間の時系列でも、あまり変化が見られません。
Lensの標準グラフ機能では、凡例が件数順でなくて分かりづらいですが、日本以外は、米国、WO(国際特許出願)、中国、といった順番です。
プラスαに米国を選ぶ傾向があるのかな、とも想像できます。筆者個人的にも、技術にもよりますが、外国出願に米国を外すことは余り無いです。
一方、中国を選ぶ動機づけは、筆者の場合はマーケットがあるからというよりも、競合する素材を生産する現地メーカーへの牽制、といった意味合いが強いような気がします。
次回は韓国からの出願を見てみたいと思います。