今回より、各国の出願人がどのような国での特許獲得を目指しているか、その時系列変化を含めて、国籍(第一国)別に見て行きたいと思います。
まずは中国(CN)から。
中国籍の特許動向の特徴
前回の記事「国籍別の特許動向の違いは?」で触れた通り、中国人(中国企業)は、全世界の出願件数の半数以上を占めるほど圧倒的な出願アクティビティを示しています。
一方、そのアクティビティは自国への出願に重点が置かれており、グローバルに特許を獲得しようとする意欲は平均的に低いと言えます。
なお、前回の記事でも述べましたが、多くの特許出願は出願人の国籍をデータとして持っていないので、その代わりとして第一国(最初の出願国、より正確に表現するならば「優先権主張の基礎となる出願の出願先となる管轄官庁の属する国」)を使っています。
検索式
The Lensを用います。検索式は下図の通りです。Lensでは”Priority Jurisdiction”(優先管轄官庁または国)というフィールドがあるので、これを第一国(国籍)を表すものとして利用します。対象期間は、公開公報発行年を基準に2017年以降の5年半を取っています。
中国籍の特許出願動向
下図より、中国籍の出願先(国)の内、9割超が中国内への出願となっていることが分かります。この傾向は、全体の出願件数が増える中でも、あまり変わっておりません。
Lensが装備するデフォルトのグラフでは、凡例が件数の順番でなくアルファベット順なので分かりづらいのですが、中国以外は、WO(国際特許出願)、米国、欧州が多いです。しかし、中国への出願に比べると微々たるものと言えます。
もっとも、技術分野を細かく分けていくと、異なる傾向が見えてくる可能性はあります。また、このような”国内偏重”は、いわゆる五大国の中では中国だけに特有の傾向です。その理由は様々挙げられると思いますが、結構ややこしそうなので、また別の機会に譲りたいと思います。