「切り餅」事件を例にした、「オープン&クローズ戦略」の続きです。改めて、「自社よし」「顧客よし」「競合よし」の”三方よし”で、「世間よし」を共創するには?ということを考察してみたいと思います。
いろんなお餅を”選べたら”?
「買い手」にとっては、「売り手」同士の競争というのは、良いことです。
すぐに思い浮かぶのは「競争入札によるコストダウン」ですが、それに限りません。
それも重要なメリットではありますが、もっと踏み込めば、価格も含めた「他社には提供できない価値」の提供、ということに至ると思います。
それを「買い手」から見れば、価格も含めて「選択の幅が広がる」ということになります。お餅で言えば「越後だけでなくサトウの切り餅も選べる」ということですね。
つまり、ライバル同士が、お互いの”クローズ”を競った結果、顧客を引き寄せる効果をもたらす、つまり、オープン戦略と同じ様な結果になる、とも考えられるかと思われます。(お餅好きにしか効果は無いでしょうが・・・)
いろんなお餅を”創れたら”?~「切り餅ランド」
ここでひとつ、仮想のアイデアを。
いっそのこと、自社・競合・顧客のみんなが集まって、お互いの特許アイデアを利用しあって、それぞれが好みのお餅を自ら創り出す、そんな場を提供する「切り餅ランド」なんて如何でしょう?
「餅は餅屋」じゃないですが、お餅を製造するノウハウは、自社と競合が手を取り合って、顧客にアドバイスする。キッチンや調理器具も提供する。顧客は手ぶらで「切り餅ランド」に来場するだけで良い。そんな場の提供です。
日清食品のカップヌードルミュージアムなどはそんな感じですが、それを一社提供じゃなくて、ライバル同士が手を組んで提供するのがミソです。
もっと踏み込んで、お餅のアイデアを、顧客も含めて共創する場にして、顧客・競合・自社を問わず、良いアイデアが出たら表彰した上、共同で商品化するなど、いろいろ前向きな開発ができるかも知れませんね。
基本的な知財は、各々があらかじめ確保しておくことが前提です。その上で、「切り餅ランド」から生まれる知財は全てオープンにする。そういう仕組みがあっても良いんじゃないだろうか、と思う次第です。