最近、IPランドスケープが流行ってますね。その影響で、筆者も勤務先で、IPランドスケープを担当する部署の立ち上げに携わったことがあります。
それに伴って、特許マップへの注目も高まっています。「IPランドスケープ=特許マップ」みたいな誤解も生まれていますが、IPランドスケープと特許マップが切っても切れない関係なのも確かです。
IPランドスケープという言葉は、いわゆるビッグワード(検索すると非常に多くヒットする言葉)、または、バズワード(意味が広過ぎて何を指すのか曖昧な言葉)と言え、それがいったい何を指すのか、説明するのは結構難しいところがあります。
そこで、IPランドスケープの説明は後回しにして、ここではまず、特許マップについて触れたいと思います。
ただし、特許マップというのも、割と定義が曖昧で、意外と奥が深いものです。そこで以下、筆者が実際に仕事で使っているものを幾つかかご紹介してみたいと思います。
「表」形式の特許マップ
まずは「表」形式の特許マップをご紹介します。
以下の図は、いずれも「電子楽器」に関する特許を例に、Excelで作ったものです。いずれも、Excelの標準的な機能を使って作ることができます。
★ 会社別に特許出願件数の経年変化を示した時系列マップ
★ 会社毎に技術種別の特許出願件数を示したマトリックスマップ
ご覧の通り、Excelで作った「単なる表」ですが、特許データを何らかの形でビジュアル化したものは、それが特許状況の理解促進につながるものであれば、全て「特許マップ」と言って差し支えないかと思います。
「グラフ」形式の特許マップ~2つの観点より
次に「グラフ」形式の特許マップです。これも、Excelが標準で持っているグラフ機能で作ったものです。
ここでは「会社」と「特許出願件数」という2つの観点で見ています。この他、「技術」と「件数」、「会社」と「特許出願先の国数」、などといった場合もあります。
★ 会社別の特許出願件数を棒グラフで比較したランキングマップ
★ 会社別の特許出願件数の割合を円グラフで示したシェア(割合)マップ
「グラフ」形式の特許マップ~3つの観点による「時系列」形式
次は同じく「グラフ」形式ですが、ここでは①「会社」または「技術」に着目し、それらの②「特許出願件数」について、③経年変化を示したものです。
最初にご紹介した「表」形式の特許マップも、これら3つの観点によるものであり、それをグラフ化したものと言えます。
★ 技術種別の特許出願件数の経年変化を折れ線グラフで示した時系列マップ
★ 技術種別の特許出願件数の経変変化を積み上げ棒グラフで示した時系列マップ
★ 会社別の特許出願件数の経年変化を三次元棒グラフで示した時系列マップ
★ 会社別の特許出願件数の経年変化を等高線グラフで示した時系列マップ
「グラフ」形式の特許マップ~3つの観点による「比較」形式
次も同じく「グラフ形式」ですが、ここでは「会社」「技術」「特許出願件数」の3つの観点に着目し、各会社がどの技術に多くの特許を出しているか、または、各技術についてどの会社が多くの特許を持っているか、を見ることができます。
★ 技術種毎に会社別の特許出願件数を積み上げ棒グラフで比較したシェアマップ
★ 会社毎に技術種別の特許出願件数を三次元棒グラフで比較したマトリックスマップ
★ 特定の二社間における技術種別の特許出願件数の比率を示した比較マップ
「どうやって作る?」vs「どうやって使う?」
以上、特許マップの種類や形式についてご紹介しました。あくまで筆者が普段使っているものに過ぎませんが、ご参考になれば幸いです。
こうして紹介すると、それに対する反応は、大きく以下に分かれます。
- これって、どうやって作るの?(誰でも簡単に作れるの?)
- これって、どうやって使うの?(なんの役に立つの?)
このブログでは、「特許マップの作り方」と「特許マップの使い方」、両方について解説していこうと思います。