特許動向

Fタームで見る特許動向~「土作業機(2)プラウ・ハロー」(テーマコード:2B032)

特許分類「Fターム」(特にFタームの5桁で構成されるテーマコード)を利用して、技術テーマ別の特許動向を俯瞰する試みをしています。

今回は、テーマコード2B032土作業機(2)プラウ・ハロー」。

土作業機のFタームは4種類に分かれていますが、今回の「プラウ」や「ハロー」というのは、田んぼや畑の土を耕すのに使う道具です。

プラウ」は鋤や鍬と同じく、種を蒔く前に土を起こしたり稲藁を土に混ぜ込んだりする役割をします。「ハロー」は、プラウで起こした土を細かく砕いて整地する役割です。

2012年1月1日以降の約10年間に出願された特許及び実用新案が対象。J-PlatPatにて193件がヒットしました(2022年7月29日現在)。

頻出するキーワード

耕耘機(耕運機)に関するキーワードが中心になります。

ユーザーローカル社のサイト「AIテキストマイニング」を利用して、発明の名称および要約頻出キーワードをクラウド表示したもの(上図が発明の名称、下図が要約)。名詞、動詞、形容詞は色分けされている。

出願件数推移およびランキング

イセキやクボタなど、農機の大手有名メーカーが上位に並びます。各社が安定して継続的に出願しているとは言えませんが、技術分野全体としては維持または微減傾向かと思われます。

※出願件数の推移は出願年毎に表記。2020年出願分は全て公開されているはずなので、それ以前の経変変化は確定データ。

「出願人×キーワード相関」から考える戦略

キーワードから各社の特徴を見て、何らかの戦略を練る場合、共通するキーワードと個別に特徴的なキーワード、両面から探るのが良いです。

本件では、上位メーカーで「歩行」が共通、「耕耘」も若干共通します。これは、「歩行型の耕耘機」については、上位メーカーに強みがあることを示唆するものと言えます。

これら上位メーカーに技術または特許で対抗しようとする場合、上位メーカーには無い何らかの特徴を示す必要があります。下図から、例えば富士トレーラー製作所なら「暗渠」が特徴キーワードになります。

富士トレーラーの特許を見ると、水はけや空気の通りを良くするために、土を耕しながら土中に「暗渠」を設ける技術に特徴があることが分かります。それが6件とある程度まとまった出願になっていることから、富士トレーラーとしては、歩行用の耕耘機に暗渠作成装置を付加したものを特徴技術にしようという意図が伺えます。

被引用件数の上位案件

今回、無料の特許及び文献検索ツールであるThe Lensを使って、被引用件数を見てみました。Lensの使い方は、また機会があればまとめてみたいと思います。

今回この中から、比較的新しく出願されていて被引用件数の多い案件に注目してみたいと思います。

ピックアップ~耕耘爪の摩耗判定方法

上述した最近で被引用件数の多い案件は、小橋工業による「耕耘爪の摩耗判定方法」に関する発明です。

これは、耕耘機の爪部が徐々に摩耗していくことから、その交換やメンテナンスの時期を正確に把握するため、摩耗を電気の導通具合で検出する発明です。米国メーカー等による4件の被引用(後願)があります。

この技術が今後発展するという「先読み」ができるか否かは何とも言えませんが、同様の技術が最近に複数出願されていることは確か。摩耗の電気的な検出方法は他にも応用が利きそうなので、いろいろなバリエーションが生まれる可能性はあるかと思われます。

お読みいただきまして、誠にありがとうございました!

 

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