テーマ別の特許動向を、Fタームの5桁で構成されるテーマコード毎に俯瞰する試みをしています。
今回は、テーマコード:2B005「特定動物用飼料」。2019年以降の約3年間に出願された特許及び実用新案が対象。J-PlatPatにて約200件がヒットしました。
出願件数ランキング
この約3年間で最も多くの出願をしているのは、ユニ・チャーム。おむつや生理用品で有名ですが、ペット関連のフードやケアでも大手です。
2位のソシエテ云々・・・は、かの有名なネスレ(Nestle)。日本の特許では、外国の出願人名の読みを無理矢理カタカナにするので、非常に分かりづらいです。ローマ字表記で良いと思うのですが・・・
3位のマース(Mars)は、米国の大手食品メーカーで、スニッカーズやペディグリーチャムで有名ですね。
4位のディーエスエム(DSM)は、オランダの大手化学メーカーで、元々は肥料で有名ですが、ライフサイエンスも含む総合化学メーカーです。
5位のヒルズペットニュートリションは、単にHill’sとして有名な、米国のペットフード専門メーカーです。
出願件数推移
少なくともこの約3年間は、全体として維持または減少傾向です。過去を見ても、上位をペットフードの大手が固めており、入れ替わりの少ない業界かなという印象です。
出願人×キーワード相関
発明の名称をテキストマイニングして並べたのが下表です。出願人の順番は適当です。
大きく、ペット関連、水産関連、畜産関連に分かれます。個別の特許を眺めていると、ペットも魚類(特に養殖魚)も、ウィルスや細菌による感染症が問題のようで、それに関する特許出願が割と目につきます。
「胞子虫」というワードも筆者は初めて目にしましたが、病原体の一種ということです。
頻出キーワード
ユーザーローカル社のAIテキストマイニングにより、要約における頻出キーワードをクラウド表示したものです。名詞、動詞、形容詞は色分けされています。
上述の通り、ペット、水産、畜産が混じってしまっており、これらを分ければ、もう少し個別の傾向が分かるかもしれません。
係り受け解析
出現したキーワードの感情分析(ポジティブかネガティブ、どちらで使われているか)を、AI解析により判別したものです。技術課題を俯瞰するのに便利です。
ここで、ネガティブ・ポジティブの判断は、元になるディープラーニングの教師データがどのようなものかにも左右されますが、少なくとも本テーマでは、あまり上手く判別できていないように見えます。
ピックアップ(1)養殖カンパチ及びカンパチの養殖方法
以降、筆者の偏見で幾つかの特許をピックアップ。まずは、マルハニチロ社の発明。
要約は下図の通り。脂肪酸の含有量を規定するだけで、カンパチという生物そのものを特許として獲得できるというのは何となく違和感がありますが、「養殖」という限定により、天然物でなく技術的な成果であることを示しているのかと思われます。
ピックアップ(2)撒き餌保持具、魚釣り用仕掛け
次は、魚釣り用に使う撒き餌のための仕掛けです。個人による出願で登録になっています。
下図に、特許で使われている図面を少し編集してみました。ちょっと分かりづらいですが、中央にあるバッグが口を開けているようなものが、網目構造の素材で形成されていて、餌などを挟み込むようにできている模様です。
こうして見てみると、発想や構成は割と単純なように見えますが、それは後付けの話。そうしたアイデアを発明としてしっかり完成させ、特許にまで持って行くところが、普通はなかなかできないのですね。